2029年秋に開業が予定されている大阪(夢洲)の統合型リゾート施設(以下、IR)。
IRは国内初のカジノができるということで、時折ニュースでも取り上げられています。
ちなみにIRはカジノだけではなく、ショッピングモール、レストラン、ホテルなどの施設が複合的に集まり東京でいうお台場のような施設ができる予定です。
しかし今、このIR用地の賃料をめぐって市民から反発が起きています。
そこで本記事では夢洲のIR用地の賃料についてなぜ市民から反発が起きているのか?解説をしています。
夢洲IR用地の賃料問題「なぜ安いのか?」その理由を解説
- IRを考慮外とした賃料設定
- 周辺施設等の土地の価格
- 賃料が安くなった理由
市民の声と大阪市の考え
大阪市民の声
夢洲のIR用地について、定期借地権契約で土地を貸し出すのであれば、埋立地としての価格ではなく、開発された一等地ぐらいの値段に賃料を上げるべきではないか。(以下省略)
大阪市のホームページより抜粋
大阪市の考え
IR事業用地の賃料につきましては、商業用地を前提といたしまして、2019年12月の設置運営事業者公募開始前に不動産鑑定評価を行い、大阪市不動産評価審議会の審議を経て、1平米当たり月額428円とした上で、その後、公募期間を延期したことから、2021年3月の募集要項修正公表前に改めて不動産鑑定評価、同審議会の審議を経て、同額の1平米当たり月額428円として決定をしております。(以下省略)
大阪市のホームページより抜粋
こちらは2022年9月30日に大阪市のホームページで公開された内容です。
市民の声は「埋め立て地としての賃料ではなく一等地ぐらいの賃料が妥当ではないか」という意見が上がっています。
では周辺施設等の土地の価格と比べてどの程度安いのか見てみたいと思います。
IR用地周辺の施設等の土地価格
- USJに隣接するホテル
約50万〜60万円/㎡ - 南港東の埋め立て地
約46万円/㎡
これに対してIR用地の土地の価格は1 ㎡あたり12万円とかなり安い価格に設定されています。
そしてIR用地の賃料に関しては1 ㎡あたり月額428円と土地の価格同様にかなり安い賃料設定です。
ではなぜIR用地の賃料が安いのか、2023年7月14日に公開された大阪市と不動産鑑定業者のやり取りを記したメール198通から算出方法が判明しました。
IR用地の賃料が安くなった理由
まずは大阪市から鑑定業者に評価依頼をした際に鑑定業者1社から「IRを考慮することは難しい」と回答がありました。
それを受け大阪市は「IRは考慮外とする」と鑑定業者に依頼をしてしまい今回の騒動に発展しています。
しかし、この1カ月前にすでにIRは考慮外として鑑定を依頼していたのではないかという疑惑も上がっています。
IRを考慮外とするとなぜ賃料が安くなるのか?
IRを考慮外として何をもとに価格を設定したかというと、比較的賃料の安い大規模商業施設(ショッピングモールなど)として鑑定したのではないかと思われます。
会見では「仮の価格設定」をしたとあり、それをもとに鑑定業者が算出したため賃料が安くなったのだと思われます。
ただ、鑑定業者4社のうち3社の賃料は月額428円/㎡と一致しており、この点に関しても何かしらの指示があったのではないかと疑惑が上がっています。
不動産鑑定は一致するものなのか?
結論、49万㎡もの広大な土地で鑑定額が偶然一致することはありえません。
今回2019年に依頼された4社のうち3社は1㎡あたりの土地の価格は12万円、利回り4.3%、月額賃料428円と一致しています。
そして2021年にも鑑定を依頼された3社のうち2社は土地の価格12万円、利回り4.3%と同様の鑑定結果を出しています。
これらの数値が一致する理由は以下のようなことが考えられます。
一致する理由①
大阪市から不動産鑑定に何かしらの指示があった。
一致する理由②
業者間で連絡を取り合い数字を合わせた。
これらの行為はどちらも不当な鑑定評価に当たると考えられ「不動産の鑑定評価に関する法律」に抵触する恐れがあります。
まとめ
これまでに大阪市は市民に対して「鑑定業務に関するメールは存在しない」と回答していましたが、今回外付けHDDから発見された198通のメールには一連のやり取りが記されていました。
現在は公文書管理が条例に違反するとして大阪市は職員の処分を検討しているとのことです。
また、新たな情報が入りましたら更新してまいります。